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C-2 佐藤晃一氏

  • 執筆者の写真: エルトラック
    エルトラック
  • 2018年4月28日
  • 読了時間: 6分

更新日:2018年5月16日

文=石飛博之(ERUTLUCボランティア)

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はじめに

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 2020年の東京オリンピックを目指し、様々な改革を進める日本バスケットボール協会 (JBA)。そんなJBAの中でスポーツパフォーマンス部会長として選手を影で支えている佐藤晃一氏に「動きのチェックリスト」というテーマでクリニックを担当していただきました。

 バスケットボールの最高峰NBAでも活躍された佐藤氏の「動き」に対する考え方、クリニックの内容を皆さんにご紹介します。


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最適なパフォーマンスピラミッド

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 バスケットボールで最高のパフォーマンスを出すためには何が必要でしょうか?

 図1が示すようにバスケットの技術は最上段のSports skillに、また、相手にあたり負けない身体を作る筋力トレーニングなどはPerformance 部分に該当します。

 しかし、何か大切なことを忘れていませんか?


 佐藤氏がクリニックの中で頻繁に使用する言葉


 「ヒトとしてある程度この動きはできたほうがいいのでは?」


 この言葉に表される色々な動き(下図1– Movement)を上手にできることはバスケットの上達に繋がる可能性があります。今出来ていないバスケットの技術の原因が「ヒトとしての動き」に潜んでいるかもしれません。パワーやスピードをつけることはもちろん重要です。


 しかし、関節が動く範囲で可能となる様々な動きができないうちに筋力やパワーをつけること、図2のようなピラミッドを形作るのは、怪我の危険性を高めるだけでなく、せっかく筋力トレーニングでつけたパワーを効率よく発揮できない身体になってしまいます。



--------------------------------- ヒトの体について ---------------------------------

「姿勢を良くしなさい」って言われたことある人はいますか?


 普段あまり気にしないことかもしれませんが、姿勢が悪いと筋肉などのバランスが悪くなってしまいます。いい姿勢を取るためには肩を上にあげ、頭の位置は保ったままでゆっくりと肩を落としていきます。


 そうすると、下図3の真ん中の写真のように耳・肩・足首が一直線のいい姿勢を取ることができます。左の写真のように肩に力が入っていると見た目にも動きづらそうですよね。

また、ヒトの身体は動きやすい部分(肩、胸椎、股関節、足関節など)と動きにくい部分(頚椎、腰、膝、足など)が大体決まっていることが知られています。

 これらの機能が崩壊してしまうと動作のバランスが崩れ腰痛などの原因となり、パフォーマンスの低下に繋がります。クリニックではこれらの考えを基本に胸椎、股関節を動きやすく、腰まわりを動きにくくして鍛えることに取り組みました。




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胸回りは動きやすく、腰回りは動きにくく ----------------------------------

 まず胸回りを動きやすくする方法を紹介します。


 図4 のように正座の姿勢を取り片手を腰の後ろにあてます。

 体を本の表紙だというようなイメージを持ち、体を横に開きます(開いたときにお尻が左右にブレたりしてはいけません)。開いて天井を向いてこれ以上開かないという位置で深呼吸を行います。

 鼻から息を吸って息を吐きながらもう少し開くようにストレッチします。これが楽にできる人は、片手を首にあてて同様の動作を行います。



次に腰回りを動きにくくして鍛える方法を紹介します。


図 5 のように頭からかかとを一直線にした姿勢を取ります。その姿勢から片手ずつ対角の肩をタッチします。片手支持になることで体には捻る力が生まれ、その力に対抗して真っ直ぐに身体を保つことは腰回りの安定化につながります。


 さて、ここまでクリニック中の写真を全く使用せずに説明をしてきました。それは、姿勢を正すことなどは私生活で意識しなくてはならないからです。仮に1時間いい姿勢でトレーニングしたとしても、残りの23時間のうちに背中を丸めた生活を送っていては1:23の割合なのでどうしても姿勢は悪くなってしまいます。

 身体を丸めている選手を佐藤氏は「エビくん!」と呼びます。

 エビくんにならないよう普段から姿勢に気をつけること、身体のメンテナンスも畳1畳分あれば十分に行うことが可能です。



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その他のクリニックメニュー紹介 ---------------------------------

1) 1Leg Balance (片足立ち)

 2人1組で片足立ちのチェックを選手、コーチの立場に別れて行いました。

 主なチェックポイントは、

  ①軸足の膝が伸びているか

  ②あげた足の太ももが床と平行か

  ③頭からかかとまで一直線で立てているか

 などです。


 股関節が自由に動かせないと足をあげた時に上体を反らしてしまうこともあります。少なくとも20秒以上、できるなら目を瞑った状態でも行えることが理想です。

 うまく行えない場合、図 7 のようにライン状に両足をのせて片膝立ちを行うと改善されることが多いです。片足立ちに関わらずバランス力が必要なメニュー全般を改善することができるオススメのメニューです。



2) ラテラルスクワット


 図8 真ん中の写真のように膝を曲げて行った時に太もものラインが床に対して斜めになるように、足の幅をやや広めに取ります。

 何度か個人でスクワットを行った後、図8 右端のようにパートナーに肩を押してもらいます。その力に負けないようにしっかりと床に力を伝えて対抗します。この時、赤枠で示す体幹部分が斜めになったりしないように注意します。


 バスケットのディフェンス中によく使うサイドステップの元となる練習です。しっかりと床を蹴って進行方向に進むイメージを掴みましょう。この後、クリニックではゴムバンドによって負荷をかけることなど、実際にサイドステップの強化を行いました。


--------------------------------- 佐藤さんの理念などありましたらお聞かせください。 ---------------------------------

 知的好奇心と美的感受性です。今回のクリニックで選手に話をしたように動作を正しく行うことを評価する指標として美しさがあると思います。

 正しい姿勢は美しい、それを行うことができる、また、相手が行っているのを的確に評価できることが大切であると思います。



--------------------------------- 本日のテーマと合わせてもう少し詳しくお話しいただけますか。 ---------------------------------

 本日のテーマは「Do simple things well」= 「シンプルなことを上手に行う」で

した。パフォーマンスを向上させるうえで難しいことができることが大切なわけではありません。

 我々がヒトとして可能となる一つ一つの動き、それは決して難しいものではありません。

 しかし、使わなければその機能は使われることなく、とても難しいことに感じてしまいます。簡単なことをきちんとできるかということの積み重ねが大切なのです。




--------------------------------- 最後に選手にメッセージをお願いします。 ---------------------------------

本日のクリニックでも言いましたが、


自分がやっていると思っている事と、実際に行っている事の間にはギャップがあります。


1. 自分が出来ていないと思うことに自分で気づけること

2. 自分のパートナーや練習相手がきちんと出来ているか認識すること

3. そして出来ていないのであれば「まあいっか」と流さずにきちんと指摘すること


以上を日頃から気をつけていけば、バスケットの技術も他に取り組んでいることもうまくなっていくと思います。これからもぜひ頑張っていってください。

 
 
 

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