C-4 佐藤氏/阿部氏
- エルトラック
- 2018年5月13日
- 読了時間: 6分
文=石飛博之(ERUTLUCボランティア)

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はじめに
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セッション2で身体の基本的な「動き」について担当いただいた佐藤氏、セッション3で「変動性の高い動きに対応するウォームアップ」を担当いただいた阿部氏。
セッション4では贅沢にも両氏が同時にコートに立ちクリニックを担当していただきました。両氏に共通するキーワードは
「”ヒトとして”いかに多様な動きを行うことができるか」
それを更に発展させ
① 加速動作、特に1歩目を早くするにはどうしたらいいのか、
② スライドステップなどのお尻を落とした状態からどうやって早く動くのか、
についてクリニックを行っていただきました。

--------------------------------- 姿勢を保つ ---------------------------------
力を生み出すために必要なことは何だったでしょうか?
そうです!姿勢です。
佐藤氏の(セッション2)レポートにもあるように、トレーニング中はもちろんのこと、私生活の間においてもいい姿勢を維持することは非常に大切です。頭の位置を高く保ち、頭のてっぺんから踵までが一直線であることがいい姿勢です。まず、この姿勢を確認する方法を紹介します。
大体、同じ身長の人とペアを組みます。頭から踵まで一直線の姿勢を取り、足首から身体を前に傾けていきます。パートナーは両手で肩を支え、実施者が倒れないように支えます。この時、お尻がつき出たり、頭が前に出たりしないように注意して、姿勢が維持できるか確認します。

次の段階として、パートナーが図1のように片手を交互に離します。片手を離す事によって身体には捻りの動きが生まれます。それに負けないように、真っ直ぐな姿勢を維持できるか確認して下さい。
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縦への力を生み出す ----------------------------------
身体を傾けたのち、足をあげて1歩目を踏み出す練習を行いました。
図2のように頭から踵まで一直線の姿勢を保ち、壁に手をつきます。

この時、手の位置は胸の前くらいです。手をあまり高い位置に置くと、肩に無駄な力が入っていい姿勢を維持することができなくなります。
次に軸足と並行になるように足をあげ1歩目を踏みます。足を着く位置はちょうどへその下にあたる②に着くようにします。①に着くことは足でブレーキをかけることになること、③に着くことは床をしっかりと捉えることができないことから力を生み出すことができません。判断する基準として、この姿勢から足を着くことを繰り返します。それぞれの位置に足を着くことでどのような音がするか試してみて下さい。また、②で足を着くと力を入れなくとも勝手に上がってきます。
次に、この状態に入る前の身体を押す動きを練習しました。図3の状態から頭が壁を突き抜けるイメージで図2の状態になる練習を「アップ&ダウン」の掛け声に合わせ繰り返しました。最後にこの動きを継続してできるように図2の状態から足の踏み替え動作を行いました。
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実践に生かす ---------------------------------
図1〜3の動きを行なった後、図4のようにゴムバンドで負荷をかけスキップやウォーキングから徐々にスピードをあげ、最終的にダッシュを繰り返し行いました。
このように、いい姿勢を取ることは一連の動きをスムースに行うことために非常に重要だということが理解いただけることと思います。

--------------------------------- 横への力を生み出す ---------------------------------
バスケットボールにとって欠かすことのできない横の動きでの力の伝え方を紹介します。

まず図5のように壁に手を当て、進行方向の足を少し浮かせた状態で、逆足で進行方向とは逆方向の力を床に伝え壁を押す練習をします。
次に図6の姿勢から実際に地面を押す動作(図7)を行います。実際にスライドステップを行う前にこれらをいい姿勢で行うことができるのか確認することで力を伝える感覚を養うことができます。
--------------------------------- 足の運びに注意 ---------------------------------
実際にスライドステップを行う注意点として進行方向の足を先に動かしてはいけません。
進行方向の足はおへそよりも前にあるのでブレーキの働きをします。おへその位置を平行に保ち、押すことだけに集中しましょう。
--------------------------------- 実践に生かす ---------------------------------
発展的な動きとしてパワーポジション(図8)の姿勢からクロスオーバーステップ(図9)を練習しました。

この動きもスムーズに行えることが大切です。なぜなら、クロスオーバーステップの1歩目はストライドストップからミートしてシュートを打つ1歩目と同じだからです(図10)。
このようにバスケットの技術は、必ずヒトとしてできた方がいい、多様な動きに分解することができます。バスケットの技術が上手くできない場合、技術を繰り返すのではなく、視点を変えて、動きを練習することが結果としてバスケットの技術を向上させる場合があるのです。

--------------------------------- 阿部,佐藤氏からのメッセージ ---------------------------------
Q 本日のクリニックの感想をお聞かせください。
A 阿部氏 - これまで子供に指導する機会が少なかったのでとても新鮮でした。
佐藤氏 - 子供達の少しでも上達したいという気持ちを強く感じることができ非常に有意義な時間でした。
Q 本日の3つのセッションを見学し、実際に身体をうまく使うことを身につけることは簡単
ではないと感じたのですが、何か気をつけたほうがいいポイントがありましたら教えてく
ださい。
A 佐藤氏 – セッション2でもお話ししたのですが、自分が行っていると思っていることと、
実際に行なっていることには必ずギャップがあります。そのギャップを自分で
理解できること、そして上手くいかなくともそれを埋めて行くことが大切だ
と思います。
阿部氏 – 子供達は身体発達の理由から、上手く行えない動きは必ずあります。しかし、
指導者は単に上手くできないからという理由だけでメニューから外さないこ
と、また上手く行えない動きであっても、動きのポイントを意識させるような
アドバイスを送り続けて欲しいと思います。決して焦らず、ジュニア期は色々
な動きを経験させてあげて下さい。その結果、身体の成長に伴い上手な身体の
使い方を覚えて行くことができると思います。

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最後に(レポート作成者より)
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佐藤氏、阿部氏のクリニックを3セッション見学させていただきました。
クリニック、レポート作成を通し、「アンテナを立て、感じたことをどの様に判断するか」ということが大事だということを勉強させていただきました。
身体にアンテナを立て、自分の動きがどうだったのかを判断する。向上するためには「So-so」ではなく、「Yes or No」の基準を持ち、自分自身で自他の判断をできる様になることが必要なのではないか?
また、そのアンテナはスポーツ空間だけでなく、私生活でも同様であると思います。選手、指導者がアンテナを持ち、感じたことを共有して行くことが今後の日本バスケットボール界、スポーツ界に大切なことだと思います。
今後もみなさんの力でバスケットボール界を盛り上げて行きましょう。
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