ジョン・ポール・ターナー氏による 「""スペイン流"" OF&DFの個人ファンダメンタル ~ドリブルの仕掛け方(状況判断やフェイクを交えて)~」
前回のレポートに引き続き、ジョン・ポール・ターナー氏のクリニックについて、今回は、第二回目「""スペイン流"" OF&DFの個人ファンダメンタル ~ドリブルの仕掛け方(状況判断やフェイクを交えて)~」についてレポートしたい。
今回のセッションで主に伝えたかったことはなんですか?
シンプルな動き、フットワークのものが多かったが、その中で素早い状況判断をしてほしいということを伝えたくて練習を組み立てた。スペインではこのような素早い状況判断というものを大事にしており、1on1はもちろんのこと、そのほかの部分でもそれを強調し要求している。
その背景にはなにがありますか?
身体能力的にアメリカにかなわないという理由が少なからずある。アメリカではトリプルスレットポジションから攻めるというのが一つ主流であると思うが、身体能力的に彼らに劣る分、お互い正対した状況で戦うと、どうしても差が出てきてしまう。アメリカに対抗しようとしたときに、今回の練習のような、ボールをもらう前に状況を見て判断し、キャッチと同時に素早く攻めるという能力を重視するようになったのだと思う。
今回の練習の中には、日本ではあまり見たことがなかったり、そこまで取り上げて重視されることのないスキルもありました。スペインではそれらをどのようにとらえ、練習の中に取り入れているのですか?
たとえばクロスステップを用いたドリブルフェイクについては、たしかにメジャーなものではない。僕もスペインの一部でしか見たことがないかもしれない。動作的な難しさはもちろんあるが、片側に大きくフェイクを仕掛けられる分、出来るようになればDFにとっても守るのが難しい動きになるだろうね。
また、ミートシュートのときに外脚からの1.2ストップシュートは、選手が素早く心地よく打てることを目的として練習しているんだ。どこでこのスキルを使うか、などということはそこまで大きな問題ではなくて、様々な動きをやらせ、コーディネーション能力を鍛えつつ、選手たちに自分が心地よい動きを見つけてもらうことで、プレーのスピードや質が向上していけばいいと思っている。
また、練習への組み込み方については、僕のクラブチームでは、ああいった1on0のステップワークやドリブルワークを、コートでの練習が始まる15分くらい前から各自で行うようにしている。そしてその後に1on1の練習などを行って、ドライブやDFなどの良い習慣を構築できるようにしている。
アメリカでは、一つのスキルを強くしたりキレを良くしたりという方向で練習することが多いような感じがするが、スペインではより巧みに身体を動かせるようにしながら、ドリブルやフットワークの連動を目指して」やる練習が多いような気がする。
練習の流れ
1、フットワークドリル
目的はドリブルとフットワークの連動。ラインを一本決め、そのラインをまたぐように使って、ドリブルとともに様々なステップワークを練習する
1)weak side ,open step fake
右手でドリブルしている状態で考える。ドリブルと同時に右足をステップ(a)
ボールを腰高にキープしたまま、左足側にステップフェイクを入れる(b)
(a)と(b)を、ラインをまたぐようにリズミカルに繰り返し、前に進んでいく。
2)weak side, cross step fake
(1)のフェイクを、クロスステップで行う。すなわち、右ドリブルをしていて左にフェイクをかけるとき、右足でクロスに足を踏み出すようにフェイクをかける。
リズムや、ラインの使い方はその点を除いて同様。
3)インサイドアウト
右足ステップのときに右ドリブル、左足ステップのときにインサイドアウトを行う。
(ステップ1回につき、ドリブル1回。この点でリズムが異なる。)
4)チェンジ&フェイク(フロントチェンジ)
2回ドリブル、3回目でフロントチェンジ。チェンジの時に、ボールと逆側にステップフェイクを入れる
5)チェンジ&フェイク(レッグスルー)
6)チェンジ&フェイク(ビハインド)
7)ball side, open step fake
(1)と同じリズムで、フェイクを入れるタイミングを逆にする
(ボール側の脚のときにステップフェイク、逆脚ステップのときにドリブル)
8)ball side, cross step fake
(2)と同じリズムで、フェイクのタイミングを逆にする
2、1on1ドリル
OF,DFが両コーナーに準備する。コーンをウイング周辺に置き、OFDFともに目の前
のコーンを回って1on1を開始する。
また、コートサイドにコーチを立たせ、OFはコーチにパス&リターンパスをレシーブ
する形でOFをスタートさせる。
Point: OFは1のフットワークドリルで行ったフェイクを使ってからDFに仕掛けをすること。また、DFがある程度分かっている状況で、その反応をみてさらなる対応をできるように、判断を心がけること
3、対面ミートシュートドリル
基本的なフットワークの確認しつつ、チーム制にして競争形式で行う。
1)インサイドフットからの1.2ストップ&シュート
Key: 1歩目はかかとから、2歩目はつま先で接地する
2)アウトサイドフットから1.2ストップ&シュート
3)インサイドフットで1ストップ&ドライブ
Key: トリプルステップポジションにならない。2歩目ですぐドライブ。
4)アウトサイドフットの1ストップ&ドライブ
4、アドバンテージ1on1
OFはウイング、DFはローポストからスタートする。補助コーチ2人がパサーとしてトップ、および同サイドのエルボーに立つ。
OFがスタートしたら、DFもスタート。エルボーにいるコーチの手にタッチしてから、OFを守りに行く。OFは、1ストップでボールをもらい、空いていたらシュート、DFが来ていたらドライブ、の判断を意識して1on1を行う
Key:トリプルスレットからの1on1ではなく、もらう前にDFを見て状況を判断し、2歩目ですぐに攻め方を選べるような判断力を意識的に鍛えること