ジョン・ポール・ターナー氏による 「"スペイン流" オフェンス(OF) & ディフェンス(DF)の個人ファンダメンタル ~シュートのメカニ
10/10、11の2日間で行われたジュニアバスケットボールサミット。はるばるスペインから参加していただいたジョン・ポール・ターナー氏。スペインU13のヘッドコーチ、U15のアシスタントコーチを務める傍ら、マドリッド州のクラブチームでもコーチをしている。
ジュニア世代へ豊富な経験から生み出される、スペイン流の指導を行っていただいた。
今回はそのうちの第1回目「""スペイン流"" OF&DFの個人ファンダメンタル ~シュートのメカニズム & ショットフェイクからの状況判断~」をテーマに行われたセッションに
ついて、まとめたい。
まずは今回のセッションの、オフェンスにおける大きなテーマ、狙いを教えてください
OFにおける大きなテーマとしては、シューティングとアタッキングのための基本的なフットワークを取り上げた。
また、シューティングの練習の時には、子どもたちが忘れがちな、
「1:狙いを定める、2:方向付けをする、3:アーチを上げる」
という3つの要素を大事にしたいと思い、それについても取り上げてドリルを組んだ。
シュートを子どもたちに指導する際に、よく問題となるのが「shootに行くまでが遅すぎる」ということ。良いシュートを打てる選手を育てるためには、足を素早くセットし、素早く手足を連動させてシュートを打てるようにすることが大切だと考えている。
したがって、今回は素早く地面に足を接地させることを目的としたフットワークからのシュートや、
シューティングポケットからまゆ毛の高さのセットポジションまで素早くセットする、素早いシュートリズムづくりのためのシューティングを行った。
DFに関してはいかがでしたか?
まずは土台となるDFのフットワークをやった。バスケットを始めたばかりの子どもたちは、DFをするときサイドステップではなく、下がるステップ(ドロップステップ)を多用しがちである。
それゆえOFのフットワークと関連させてDFのサイドステップを取り上げた。サイドステップを指導するときは、「1:クロスステップにならないようにする、2;ステップの後に自分のバランスを保つようにする」の2点を達成できるようなボディコーディネーションを身に付けることを目的としてフットワークドリルやストップ&ターンの練習をドリルとして選んでいる。
また、ディフェンスを指導するときに「自分の限界に挑戦すること」というのは一つ大切なことだと思う。自分が心地よいだけの動きでは、OFを苦しめられないからだ。そのために、特にミニバスの子どもたちなどには、「Steal the Ball(ボールを奪え)」をDFのコンセプトにしている。コースに入って終わりのDFをするのではなく、OFにこちらからアタックする。これによって、ボールを取りに行く感覚や、それが可能なチャンスをかぎ取る嗅覚みたいなものを育てたい。小さい頃に失敗も含めてたくさん経験させることで、だんだんと成長していった時に、いつでも取りに行くわけではないが、「いつ取りに行けか」という感覚は残ってくれると信じている。そして、DFへスティールを要求することで、それと同時にOFにも良い練習になるという相乗効果が生まれていく。
練習の流れとポイント
1、フットワークドリル
OFラテラルムーブメント
ラインを一本決め、両足がそのラインを飛び越えるように横移動する。スタートの脚は肩幅。
Key: OFの横移動は、進行方向から遠い足から動かす
Key:足がクロスしたり、左右の足がタッチしたりすることがないようにする
Extra:フットワークにドリブル(パウンド、クロス、レッグ、ビハインド等)を加える
DFラテラルムーブメント
1.5m間隔の2本のラインを使い、1回(3歩)のサイドステップでそのラインを飛び越える
Key: DFは進行方向の脚から出す(don’t cross your feet.)
Key:足幅は肩幅を目安にし、横に大きく素早く動ける幅を見つける
Extra:二人組、コーチの合図で競争。往復させることで、切り返しや終わりのバランスを磨く
スプリント&ターンドリル
エンドライン-FTライン間で、1,2ストップとその後のターンを意識して往復する
Key:ストップはすべてインサイドフットから入り、2歩できれいに止まる。
Key:ターンの時の良いバランスと重心移動を意識する
Extra:ターンをリバースターンにして行う
Extra:コーチの合図で一斉にスタートし、1往復の競争をする
2:オールコート1on1ドリル
コート縦半分を使ってオールコート1on1をする。DFがボールを取ったら、OF、DF交代で続行
Key: DFはボールを取りに行くこと。コースに入るDFで終わらない。
Key:手だけでスティールを狙わず、脚と手の両方をしっかり動かすこと
3:シューティングドリル
大きなテーマは連動。シューティングの際に最初に気を付けるポイントは以下の3つ
1、目線、1点に狙いを定めて集中する
2、フォロースルーでは人差し指と中指をリングに向ける(方向付け)
3、バックボードの上辺より、少し高くなるようにボールを上げる(アーチ)
ワンハンドシューティング
ボールは腰の位置(ポケット)に構える。以下の1,2のリズムでテンポよくシュートを打てるように
上半身と下半身を連動させていく
1のタイミングで脚を曲げつつ、ボールをまゆ毛の高さにセットする
2のタイミングでシュートを放つ
これをゴールに近い位置から始め、だんだんと距離を伸ばしていく
リフトアップシューティング
上記のワンハンドシューティングに、逆の手も添えて行う。
Key:両手の親指が、大きなTを作るようにボールを持つ(強く持てるように)
Key:利き手の手首はしっかり返しておく(コックを作る)
Key:フォロースルーは非利き手もしっかり上げること
Extra:片足を一歩後ろに下げ、1のタイミングでステップし、2のタイミングでシュートを放つ
Extra:片足立ちになり、1のタイミングで軽いジャンプから両足着地、2のタイミングで打つ
4:ドライブドリル
片足を一歩後ろに引いた状態からステップして、シュートフェイク。
その後、クロスステップドライブから1,2ステップレイアップ
Extra:オープンステップのドライブをしてレイアップ(踏切足が逆になる)
Extra:DFを1m離れたところに正対させる。OFがステップしだすのを合図に1on1をする
Key:間合いが空いていたらシュート、詰めてきていたらドライブ、の判断をしっかりすること
Extra:スタートの姿勢時に、ドリブルを着いた状態で1on1を始める