中川 直之 氏の「トリックパサー養成講座 ~相手を出し抜く超実戦的パススキル~」
はじめに
「得点は1人をハッピーにし、アシストは2人をハッピーにする。」
これはNBA歴代名プレイヤー、マジック・ジョンソンの言葉である。 昨年のサミットで数あるテーマの中から唯一、パスをテーマにした「考えるバスケットの会」中川直之氏の「トリックパッサー養成講座が今年も行われた。
30センチズレるとプレーが変わってしまうと言われるほど、バスケットボールにおけるパスの役割は大きい。 正確かつトリッキーなパスを、中川氏自身がデモンストレーションを交えながら展開していった。このレポートではそのクリニックの内容をお伝えする。
クリニックの狙いと目的をお聞かせ下さい
「パスをする際の駆け引き、またそのプロセスを知ってもらうことです。ボールを持っている時は司令塔として味方を操作的にプレーし、遊び感覚や余裕をもって相手をだますトリックパスを身につけるのが狙いでした。」
クリニックを終えた感想をお聞かせ下さい
「昨年は多少の緊張をしましたが、今年はより楽しむことができました。デモンストレーションを含め、自分自身が楽しんだり、一生懸命やる姿を子供たちに見せる事ができたと思います。」
日頃どのような指導理念でコーチをされていますか
「バスケットボールを通じて自分で考えること、主体的に行動し、リーダーシップのとれる人を目指せるように取り組んでいます。」
ジュニア期の選手に対する指導について普段から意識している事はありますか
「誰でもうまくなれるという声かけ、勇気づけを心がけています。また成功体験をさせ、常に創造性を持たせるようにしています。」
ジュニアバスケットボールサミットの感想をお聞かせ下さい
「バスケットボール界の発展においてとても重要なイベントだと思います。そのイベントの一員になれてとても光栄です。これからも日本のバスケットボール界に貢献していきたいと思います。」
練習内容
1)ストレッチ
→パフォーマンスを上げるため可動域を広げる。
2)30秒間対面パス
→30秒間で全力を出し切る。終わった時には疲れ果てているように
→ポイント ①強く ②早く ③顔を上げる(意識を向ける) ④上手くやろうとしない(試合に近いミスギリギリのシチュエーションで練習する) ⑤失敗をたくさんする
3)二人組ドリブルパス
→Aはディフェンスを想定して、その場で強いドリブル。
→Bがハンズアップしたら0.3秒以内にパス。
→ハンズアップしてからパスが遅いとノーマークがノーマークではなくなる。
→ドリブルをしながらも仲間の動きを感じ取れるようにする。
4)二人組コミュニケーションドリル
→ハーフコート片サイドで行う。一人が自分のやりたいプレーを声でもう
→一人の人に伝え、二人でシュートまで持っていく。
→「スクリーン、コーナー行け、ハイポスト来て、 右ドライブ行け、シュート」など試合中でのコミュニケーションスキルを高める。
5)6メンモーションパッシング
→2ガードポジション、両45度ポジション、両ローポストの計六ヵ所を六人でパス回し。
→右サイド、左サイドそれぞれでパス回し。
→人とボールが止まることなく動き続け、サイドチェンジしてもよい。
6)ハーフ4対3 アウトナンバーシチュエーション
→ディフェンスをだましながらゴール下で1on0の状況を作り出す。
→そのために、チェストパスだけではなく、オーバーヘッドパスやビハインドパス、フックパス
なども積極的に使う。
→ディフェンスをダマすための10個のフェイク
①シュートフェイク
②アイフェイク
③パスフェイク
④ボディーフェイク
⑤ボイスフェイク
⑥エネルギーフェイク
⑦パススピードフェイク
⑧バンプフェイク
⑨ミートフェイク(空間把握)
⑩ファンブルフェイク 7)ピックスクリーンから2on2
→ユーザー(スクリーンを使う人)は、スクリナー(スクリーンになる人)が来るまで待ち、ブラッシング(ユーザーがスクリナーの肩をぶつけて通る)を意識すること。
→ポイント
①ワンハンドパスでアングルを作った状態からパスをクイックで狙う
②投げる場所、タイミングを読まれないように、ディフェンスを操作する
③一番得点の確立の高いプレーを選択する(2on1を狙う)